次世代新興国商圏享受の入口は、BOPビジネスにある!

日本の企業も、欧米企業からみると半歩・一歩後塵を拝している、BOP(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)ビジネスに、積極的に取り組むべきだと考える。
世界の人口の約7割に当たる約40億人が、年間所得3000㌦(約25万円)未満の貧民である。そうした貧民を多く抱える国を相手にしたビジネスの展開に、注力すべきだと思う。野村総研は、こう発信している。

「貧民が集中している貧国には、南部アフリカに象徴されるように、豊富な資源と安価な労働力という潜在的武器を持つ国が多い。またそうした貧民を抱える国の中に、新興国の経済発展メカニズムの導入に積極的なところが多い。そうした流れを検証すると、2015年までには、現在の貧民の4分の1が中間所得層(年収3000㌦以上2万㌦未満)に移行すると、試算している」

要するに、次世代新興国候補の企業で、日本企業は「井戸を掘った存在」になるべきだ、と私は進言したいのである。かっこうの新たな商圏が出現するというのに、恩恵を享受する為に手をこまねいていてよいはずがない。
現に、井戸を掘ってくれた企業、という位置付けを受けている企業もある。住友化学など、そんな一社だ。

同社はいま、SADC(南部アフリカ開発共同体)に属しているタンザニアで現地法人を設立、4000人の現地人を採用し、ここを拠点に貧国50カ国以上にある必需品を供給している。
住友化学のコーポレート・コミュニケーション部の話を要約すると、こんな経緯だった。

①アフリカを主に、年間100万人余の命がマラリアに奪われている。なんとか支援できないものか、と考えた。
①ピレスロイドという、マラリア感染の防止効果が認められた殺虫剤を保有していたのが背景だった。
①ピレスロイドを練り込んだ樹脂性の糸で、蚊帳や建物などの防御ネットを作りユニセフを介し寄付をした。
①ユニセフから、早々に量産化できないか、実現して欲しいという要請があった。
①要請に対応する為、前記のような現法設立に至った。

現法稼働直後に、タンザニアから首相が来日。経産相と経済協力強化で合意するのと同時に、住友化学にも丁重な謝辞が贈られた。ちなみに、タンザニアは国家主義が崩壊し、国営企業の民営化と海外資本進出に各種の特権供与を軸に、豊富な資源を背景に経済発展に大きく舵を切った直後だった。同国は金の産出量で世界3位、南部海域には埋蔵量豊富なガス田等を有している。無資源国・日本には魅力的な国である。